仏師 松久朋琳は著書「一心一仏」に、仏像彫刻にとって円の意義を下記のように書いています。「円形は字の通り「円満具足」み仏の愛の慈悲を象徴しております。そして円は始めも終わりもない、無限の意を表しており、時空を超えた宇宙の壮大さの表現でもございます。また、宇宙の活動は太陽を中心として、地球も他の惑星も円を描きつつ回転いたしており、神仏すなわち大宇宙とみれば、仏教彫刻において円が基調をなしていることにも納得がいくのです。」
鎖の環の数は西国三十三観音寺に合わせて33ヶとして勢至菩薩に掛けました。
最後に、鎖の環一つ一つは皆さんの一人一人でもあります。この輪に思い遣りの心を入れると、環はつながって大きな幸せの輪になることを勢至菩薩は手を合わせて祈っておられます。
なお、縁、空、零については作品『縁から空』でも解説しています。
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