月 の 兔  
 
材質:クス 寸法:21× 34.5cm
2012.3.製作


 中央の月の前に座っている老人は帝釈天の化身であり、右に魚を加えた狐、左に柿を手にした猿、焚火の上に兔を配置した。
 説話

「月に兔がいる」と言う伝説は仏教の説話によるもので、今昔物語にも語られている。伝説は狐と猿、兔が力尽きて休んでいる老人に出逢い、3匹は老人を助けることにする。狐は川から魚を、猿は木の実を取って老人に与えるが、兔にはとってくるものがない。そこで狐と猿に火を焚いてもらい、自ら火の中に入って身を食料として老人に捧げた。老人である帝釈天は兔の捨身の慈悲を後世に伝えるため、兔を月に昇らせたので今も月には兔が住んでいる。

 

兔のいる月に鏡を入れて老人が帝釈天の化身であることを表すために、老人の背中に帝釈天を彫って鏡に映しだした。